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五種混合ワクチンと15価肺炎球菌ワクチンについての情報まとめ

[2024.03.01]

2024年4月より、あらたに五種混合ワクチンと15価肺炎球菌ワクチンが定期接種として登場しました。

 

今回は、現在わかっている情報をもとに、当院なりにまとめてみようと思います。(※個別の論文などは読み込んでいないので、エビデンスとかあまり深堀りはしていません。情報収集目的なら厚労省のサイトとか見た方が早いかも?!)

 

五種混合ワクチン

さて気を取り直して、五種混合とは、現行の四種混合ワクチンにヒブワクチンを合体させたものです。今年度から四種混合ワクチンとヒブワクチンの接種スケジュールはほぼ同じにそろえられているので、単純にそれらが合体して注射の本数が1本減るような形になります。山のような注射が少しでも減らせて、グッドです。

 

製剤は田辺三菱製薬の「ゴービック」とMeijiの「クイントバック」の二種類があります。(戦隊風なゴービックと、オシャレなクイントバック、、、ネーミングセンスの好みが分かれるところです)

 

どちらの製剤を選ぶか、については、効果や副反応に大きな差異はないと思われるため、こだわらなくていいと思います。おそらくクリニックによって採用する製剤がどちらかになるので、採用されているほうを打ってもらえばいいと思います。

 

五種混合ワクチンで注意が必要なのは、交互接種が原則認められていないということです。交互接種というのは、同じ内容のワクチンを種類をかえて接種することです。「1回目が四種+ヒブで2回目が五種」という打ち方はできないってことです。最初に四種+ヒブで開始したら、最後まで四種+ヒブで通さなければならないってわけです。すでに予防接種を始めている人は、4月以降も五種混合ワクチンは使えません。

 

で、悩むのは3月下旬に2か月になる赤ちゃんです。本数が多くても2か月になった時点で打ち始めるか、4月まで待って五種を打つか。

 

どういうことかというと、五種混合(あるいは四種+ヒブ)は計4回あるため、四種+ヒブで始めるのと五種で始めるのでは、計4回刺される回数が変わるのです。だったら、4月まで待って五種で開始したほうが、赤ちゃんは刺される回数が4回分減るので、優しいんでない? と思うかもしれません。

 

しかし! そもそもなぜ予防接種するかというと、重篤な感染症から赤ちゃんを守るためです。予防接種の開始を遅らせるということは、怖い感染症にかかるリスクを上昇させる、ということを意味します。

 

注射の本数が少なくなるのと、怖い感染症にかかるリスクが少なくなるのと、どちらがいいか、とてんびんにかけると、後者が勝るだろうな、と私は思います。(これは、まあそれぞれの価値基準によりますが)

 

一番良いのは、無条件で交互接種ありっていう決断を国がしてくれることですが、現時点ではそのようなお達しはなさそうです。

 

 

15価肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンは現行のものは13価です。「~価」というのは、同じ名前の菌でも種類がいろいろあるので(インフルエンザのA型B型、コロナのデルタやオミクロンみたいな感じ)、そのうち何種類をカバーしているか、という意味です。

 

これまで13種類をカバーしていたものが15種類をカバーするようになるので、これは単純に上位互換と考えてよいでしょう。(HPVの4価か9価か、と同じように考えていいと思います)

 

肺炎球菌ワクチンは副反応で発熱することがとても多いことで有名ですが、これは13→15価になっても変わらないようです。多くなるわけではありません。

 

さらに肺炎球菌ワクチンについては、交互接種が認められているため、4月以降の肺炎球菌ワクチンは原則すべて15価に変えていく方針で問題ないかと思っています。

 

 

筋肉注射

五種混合ワクチンも、肺炎球菌ワクチンも、「筋肉注射」が可能になったことも大きいです。筋肉注射の方が痛みが少ないし、腫れや発赤などの局所の副反応が少ないため、赤ちゃんに優しい手技といえます。

 

日本の医者は筋注に慣れていない、というような言説をどこかで見ましたが、基本新生児科医はシナジスやら免疫グロブリンやらで赤ちゃんに筋注する機会は多いですし、加えてコロナワクチン接種でいやというほど経験したので、手技上の懸念はほぼないです。

 

運もあるけど、「赤ちゃんが泣かない注射」をもっと増やせればいいなと思います。

 

 

さてさてざっくりとまとめをしてみました。

これから予防接種という赤ちゃんの親御さんはいろいろと疑問もあるでしょうから、気になったことはお気軽にご相談くださいね。当院HP等でも新たな情報は随時発信していきたいと思います。

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