授乳中に飲める市販薬
インフルやコロナの蔓延により、体調を崩されるお母さんも多いかと思います。加えてこれからスギ花粉の季節ですので、花粉症のお母さんはダブルでつらいことでしょう。
具合が悪い中、数時間おきに授乳しなければならないのは本当に大変だと思います。少しでも症状を和らげたいところです。
しかしながら、お薬を飲んで母乳に影響がでないかどうかは気になるところです。
今回は、授乳中の市販薬(かぜ薬、花粉症薬)について解説します。
添付文書をみるとほぼすべての薬で「授乳中は内服しないか、授乳を控えてください」と書かれている件
このような記載はたいてい「母乳中に移行することが確認されている」ことが根拠になっています。
しかし、母乳中に移行していても、その量が微量だったり、飲んだ赤ちゃんになんの影響もないようならば、内服しても問題ありません。
本当のところは、別に飲んじゃダメな薬はない
実は用法用量を守って短期間使用する分には、禁忌と言える薬(かぜ薬、花粉症薬)はありません。赤ちゃんに影響はほとんどありませんので、安心して内服してください。
身も蓋もないですね。笑
以下、細かいことを言えば、という話を記載します。
授乳中は(どちらかといえば)やめておいた方がいい成分
市販のかぜ薬は種類が山のようにあるのと、一個一個商品名をあげて「これはOK、これはダメ」というのはいろいろ大人の事情で問題が多いので、注意が必要な有効成分について記載します。
市販薬はたいていたくさんの薬がまぜまぜされた総合感冒薬として販売されています。なので、箱の裏をぺろっと見てもらって、有効成分のところを見てください。
●塩酸プソイドエフェドリン
交感神経を刺激して気管支を拡張したり分泌物を減らす薬です。よく抗アレルギー薬のフェキソフェナジンと併せて使われています。この薬は母乳分泌を減らす作用があるため、短期間ならともかく、長期に渡って使用すると母乳育児に支障をきたす可能性があります。
●コデイン系
「〇〇コデイン」という成分は中枢性の咳止めです。コデイン系の咳止めは呼吸抑制を起こすことがある(咳が止まるが呼吸も止まる)ので2019年以降12歳未満の小児では禁忌の薬となっています。母が使う分にはそこまでの影響はなく、赤ちゃんへの影響として報告されているのは眠りがちになったり、低酸素、低血糖、徐脈などがあります。赤ちゃんが早産だったり、1か月未満の新生児の場合は、避けた方が無難です。
●ヨード系のうがい薬やのどスプレー
頻回に使いすぎると赤ちゃんの甲状腺機能に影響を与える可能性があります。そもそもかぜや花粉症にのどの消毒が有効というエビデンスがないので、うがいをするなら水道水で十分です。
●カフェイン
心配される方が多いですが、薬に含まれるカフェイン程度なら全く問題ありません。コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどを何杯も飲んでいると、赤ちゃんの体重増加に問題が出たり貧血になったりすることがあるようです。
花粉症の薬について
花粉症薬は長期的に内服することが多いので、ちょっと注意が必要です。いわゆる第一世代の抗ヒスタミン薬は、母乳量が減る可能性があるため、避けた方が無難です。といっても「花粉症(アレルギー性鼻炎)の薬」として販売されているものはだいたい第二世代以上なので大丈夫です。アレグラとかクラリチンとか。
総合感冒薬に含まれる成分は第一世代のことが多いので、花粉症治療などを目的としてこれらを長期に内服するのはやめておいた方がいいと思います。
ちなみに、イギリスアレルギー免疫学会では第一選択としてロラタジン(クラリチン)を推奨しているそうです。特別これが優れているというわけではないけれど。
市販薬じゃないけど、最近よく処方される新しめの抗ヒスタミン薬である「デザレックス」「ルパフィン」「ビラノア」も問題ありません。
いかがでしょうか。市販の風邪薬、花粉症薬を使うにあたっては、そこまで神経質になる必要はありませんので、つらい症状に合わせてお薬を選択していただければと思います。
なお、自分で調べる派の方は「薬名 母乳」でググるとあまりあてにならない情報の山ですので、成育医療研究センターのHPを参考にするとよいと思います。
2024.6追記
※添付文書に飲んじゃダメと書いてある状況で内服して万が一有害事象があった場合、救済措置の対象とならない可能性がありますので、その点はご承知いただいたうえで自己責任で内服してくださいね。
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