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赤ちゃんにビタミンDサプリを飲ませるべきか?

[2024.03.29]

今回は、赤ちゃんへのサプリの話。ビタミンDについてです。

 

ビタミンDとは?

まず、ビタミンDについて超簡単に説明すると「骨の成長に必要な栄養素」です。
骨の材料といえばカルシウムですが、ビタミンDはこのカルシウムの吸収やカルシウムを使っての骨の合成を助けているというイメージです。
そのため、ビタミンDが不足すると、骨が十分に作られないため、「くる病」という骨の病気になってしまうというわけです。

 

そんなビタミンDですが、実は母乳中には少ししか含まれません。だから完全母乳で育てている場合は、何らかの形でビタミンDを補わなくてはならないのです。

 

ビタミンDは紫外線が皮膚にあたると合成される。

古来より人類は母乳で不足するビタミンDをどのように補ってきたかというと、実は紫外線なんです。紫外線と言えば、現代では避けるべき悪者のようなイメージですが、利点もあるんですね~。おひさまの光が皮膚にあたることで、ビタミンDが合成されます。季節や地域によっても差はありますが、大体毎日日中に15~30分はお散歩するとビタミンDがしっかり合成されます。

 

ただしこの時、注意点が3点あります。

①光を浴びるといっても、直射日光はダメです。ひなたぼっこする必要はありません。赤ちゃんへの直射日光は将来の皮膚がんのリスクにもなりますのでなるべく避けましょう。日陰でOKです。
②窓ガラス越しはダメです。光が窓ガラスを通るときに紫外線がカットされてしまうため、肝心のビタミンDが合成されません。外へでましょう。
③日焼け止めはダメです。紫外線を浴びるための外出なのに、紫外線をカットしたら意味ないです。ただし、やむを得ず直射日光を浴びなければならないような場合は、塗るのも許容されます。

お母さんも紫外線をあびることで、お母さんにもビタミンDが合成され、母乳中のビタミンDは増加します。一緒にお散歩するのは一石二鳥ですね。

 

サプリでビタミンDを摂る。

諸外国では、結構当たり前のようにビタミンDサプリを推奨しています。なぜ日本ではきちんとした推奨がないのか不思議なくらいです。アメリカ小児科学会では1日400単位(10μg)、ヨーロッパだとさらに多くのビタミンDサプリを推奨していたりします。
日本で普通に手に入るビタミンDサプリの1日量は200単位(5μg)弱なので、控えめです。過剰摂取が気になる量ではないので、個人的には、母乳かミルクかに関わらず、サプリとして飲ませるのはありだと思います。

 

赤ちゃんに飲ませるのがなんとなく心配な場合は、お母さんがサプリで摂取するのもありです。お母さんのビタミンD不足が解消されることで、母乳中のビタミンDが増加し、ひいては赤ちゃんのビタミンD不足も解消されます。

 

効果はあるのか

さて肝心の効果ですが、実はこれがいまいちパッとしません。

 

赤ちゃんだけでなく大人も含めて、多くの現代人はビタミンD不足になっていることが知られています。そしてビタミンDサプリによりその不足が解消されることもわかっています。しかし、ビタミンDサプリ投与により、「くる病が予防できる」というエビデンスがちょっと乏しいんです。これは2020年のコクランレビューという信頼度の高いレビューで示されています。ビタミンD不足が解消されたとて、くる病が予防できなければ意味がありません。

 

最近話題の、糖尿病治療で「血糖値を下げる治療」が実は「合併症の予防」になってなかったみたいな感じで、治療目標を見誤るとなんのための介入かわからなくなります。
ここがはっきりしないため、全員がビタミンDサプリを飲んだ方がいいんだ!! とまでは言えないのが現状です。

 

結論は

というわけで、学会や厚労省からの明確な推奨がない中で、現時点で当院の推奨をまとめると

・毎日15~30分のお散歩をこころがけましょう。
・ビタミンDサプリは赤ちゃんに飲ませても良いです。お母さんが飲んでも良いです。飲まなきゃダメってほどではないです。

やはりなんだかパッとしませんね、、、。日本でも推奨が出たら、また改めて記事にしたいと思います。

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