熱中症対策! 水分補給を深堀り 補給編
前回の記事では、熱中症で失われる水分・塩分についてお話ししました。今回はその喪失分の補給について書いてみたいと思います。
何を飲むか
汗による喪失分を補給するのが水分補給の主眼なので、汗と同じくらいナトリウム・カリウムが含まれる水分を摂るのが理想的です。
前回も書いたように汗のナトリウム・カリウム濃度は汗の出るスピードや暑熱順化の程度により変化するので、万人に適したドリンクはこれ! とは言えません。状況に応じて使い分けるのが良いかと思います。
ざっとみてみると、スポドリはナトリウム、カリウムをバランスよく含みますが、糖質が多めです。汗には糖質は含まれないため、全く運動しない人が水分・塩分補給のために大量に飲むと太ります。ソルティライチも塩分補給には優れますが、糖質がかなり多いので注意が必要です。
OS-1などの経口補液は糖質は少なめに抑え、ナトリウム、カリウムを多く含んでいます(なので味が嫌いな子も多い)。カリウムが比較的多いので、熱中症予防にごくごく飲むというよりは、どちらかといえば嘔吐下痢などによる脱水に有用だと思います。
果物ジュースはカリウムを多く含みますが、やはり糖質が多いです。さすがに果物ジュースをそのまま脱水予防に飲む人はいないと思いますが、薄めたりして自作のドリンクを作るのには使えるかもしれません。
オレンジジュースを4倍に薄め、塩少々ふったもの
理論上バランスは良いが、おいしくはない笑
ちなみに浸透圧、というのは、消化管からの吸収の速さに関連している数値で、これが低いほどすぐに吸収され、高いほどなかなか吸収されずお腹がたぶつきます。運動中の補給は、なるべく浸透圧の低いものを選びたいところです。
続いて固形食で補給する場合の栄養成分がこちら
ナトリウム補給には、塩をなめる、塩分チャージ、梅干しなどがよいです。カリウム補給は果物や野菜がグッドです。きゅうりは糖質が少なく、純粋なカリウム補充食品として優れています。きゅうりの浅漬けはナトリウムも摂れて最強です。
状況別、水分補給の例
①日常的に激しく運動するスポーツマン
ナトリウム、カリウム、糖分を十分に補給する必要があります。ポカリやアクエリを飲みつつ、休憩時間にカリウム補給で果物やきゅうりをかじるとよいでしょう。
ちなみに、日本スポーツ協会の熱中症予防ガイドブックによれば、こどものスポーツ時の水分補給は、のどの渇きに応じて自由に水分を摂ることで脱水に伴う体重変化が1%以内におさまるそうです。逆に、決められた量の水分を無理に飲むことは、水分過多による水中毒を引き起こすリスクがあるため、避けるべきだそうです。
選手が自由に水分を摂れる給水タイムをこまめに取ることが重要ですね。
②普段運動しない人が運動する場合
水分だけでなく塩分も取る必要があります。ポカリやアクエリを飲むか、ダイエット目的の人は水+塩分チャージなどで補給するとよいでしょう。カリウム補充はさほど気をつかわなくても大丈夫です。
③運動はしないけど暑い環境に長時間いる場合
暑いとカロリーを消費しそうですが、実は寒い時に体温を維持する方がカロリーを消費します。暑い環境にいるだけではさほどエネルギー不足には陥らないので、基本的に糖分補給は不要です。スポーツドリンクよりも水やお茶をベースに、時間が長くなるようなら適宜塩分チャージをなめるくらいでよいと思います。
小学生の水筒の中身は?
熱中症対策としてスポーツドリンクOKになっている学校もあるかと思います。休み時間のたびに外に遊びに行くような子ならスポーツドリンクでもよいですが、あまり活発でない子の場合、糖分過多になる恐れがあります。塩分補給という意味では、きちんと朝ご飯を食べる(菓子パンだけ、などではなく、おかずや野菜・果物も)ことがより重要です。
2週に渡って、熱中症予防の水分・塩分補給の話をしてきました。
こどもの場合は、部活が厳しいなどつらいと言い出せない雰囲気や、遊びに夢中になってのどが渇いていても水分を摂らないでいる、という状況が危険です。周りの大人が、水分・塩分補給の重要性を理解して、こどもたちにしっかり伝えていきたいところです。