Rh式血液型は知っておくべき?
先週に引き続き、血液型の話題です。
当院で血液型検査をする場合、ABO式血液型とともにRh式血液型もみています。
Rh式血液型はABO式血液型に次いで知名度の高い血液型ですね。
Rhマイナスとか、よく耳にすると思います。
「血液型とは赤血球の表面にある抗原の種類によって決定する」というお話を以前の記事でご紹介しました。
実は赤血球の表面には非常に多種類の抗原があり、血液型の種類もその分だけあります。
ABO式血液型、Rh式血液型のほかにも、
MNS血液型、P関連血液型、Lewis血液型、Kell血液型、Duffy血液型、Kidd血液型、Diego血液型、I血液型、、、とかなりたくさんの種類があります。
「Rh」とは、Rhesus monkey(アカゲザル)のRhからとったものです。もともとアカゲザルから発見された血液型なのでこのように命名されたようです。
Rh式血液型にはC型、D型、E型がありますが、臨床上重要なのがD型なので、D抗原のあるなしでRhプラスとかRhマイナスとか言います。
多くの人はRhプラスで、Rhマイナスは少数派です。
Rhマイナスだと何が困るかというと、赤ちゃんを妊娠したときに、赤ちゃんの血液型がRhプラスだった場合です。
本来お母さんと赤ちゃんの血液は混ざり合わないようにできていますが、出産など出血を伴う変化があるようなときは、何かの拍子に紛れ込んでくることがあるのです。Rhプラスの(=D抗原のある)赤ちゃんの血液がRhマイナスの(=D抗原のない)お母さんの血管に流れ込んでくると、お母さんは自分の持っていない抗原に曝露されることになります。
母の体内で自分の持っていないD抗原が発見されると、その抗原を攻撃する抗体が産生されます。
すると、次に妊娠したときに、赤ちゃんがまたRhプラスだった場合に、産生されたお母さんの抗体が赤ちゃんの赤血球を攻撃してしまうことがあるのです。(抗体は、胎盤を介して母から子へと移行する)
というわけで、Rhマイナスの女の子は将来妊娠を考えたときに、ちょっと気を付ける必要があるのです。
といっても、妊娠した時にRh式も含め血液型は改めて調べますし、Rhマイナスの場合は、母の抗体が赤ちゃんの赤血球を攻撃しないよう、事前にお薬などを使用したりきちんと対策をしますので、妊娠するまでRh式血液型を知らなくても、医療的なリスクは特にありません。気を付けると言っても、事前に知るメリットは心構えができるくらいの意味あいです。
以上、Rh式血液型の解説でした。
個人的には、わかっている血液型すべてを含めた血液型性格診断とか作ったら面白いだろうなあと思いましたが、医療とはまったく関係ないため、実現することはないでしょう。笑