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日本脳炎ハイリスク地域とは?

[2023.12.01]

この話題はYoutubeの質問コーナーでも回答していますが、ややこしいので補足的な意味もこめてブログでもご紹介します。

 

定期接種のスケジュール

日本脳炎ワクチンはⅠ期とⅡ期があり、Ⅰ期は初回①、初回②、追加の3回セット、Ⅱ期は1回の接種で合計4回接種します。

定期接種(無料で打てる)の期間はそれぞれ、Ⅰ期は生後6か月~7歳半、Ⅱ期は9~13歳です。

標準的な(オススメの)接種期間はそれぞれ、Ⅰ期は3~4歳のうちに1~4週あけて①②の2回、その1年後に追加の1回、Ⅱ期は9~10歳とされています。

 

あーもうこの時点でややこしい!

 

さらに一時期、積極的勧奨の差し控えがあったため、上の子と下の子で接種時期が違ったりして、もうわけがわかりません!!

 

ということで匙を投げる親御さんも多く、忘れられがちなワクチンです。

 

いろいろ考えるのが煩わしい方は、とりあえず

①3歳になったら日本脳炎ワクチンを受けに受診してください。
②年長さん以上でまだ3回接種していない人はすぐに受診してください。
あとはその都度次回の接種をご案内します!

 

日本脳炎のハイリスク地域とは?

さて日本脳炎は蚊にさされることで感染、発症する病気ですが、どんな蚊にさされても感染するわけではなく、「日本脳炎ウイルスを持ってる蚊」に刺されることで感染します。

 

蚊はどこで日本脳炎ウイルスをもらってくるかというと、家畜として飼育されている豚さんです。

 

豚さんの体は日本脳炎ウイルスが増殖するのに適しているのです。豚さんの中で増えた日本脳炎ウイルスが血液中にも出てきて、その血を吸った蚊が人を刺すことで感染します。(なお日本脳炎を発症しても人の血液中にはウイルスは出てこないため、ヒトからヒトへ感染することはありません。)

 

なので、日本脳炎ウイルスに感染した豚さんがたくさんいる地域は日本脳炎ハイリスク地域となります。国立感染症研究所が調査結果を公開しています。

 

生後6か月からの接種はハイリスク地域だけ?

で、ハイリスク地域に住んでいる人は生後6か月からの接種が推奨されています。小児科学会からも推奨が出てますね。

 

ここで素朴な疑問が湧くわけです。「ハイリスク地域は早く免疫を付けた方が安全だから生後6カ月から」は分かる。じゃあ「ハイリスクじゃない地域」はなぜに3歳から? 全員6か月からじゃダメなの??

 

日本国内でもハイリスクな地域はいくつもあるので、転勤や旅行、帰省などでそうしたハイリスク地域を訪れる機会は少なからずあるはずです。ハイリスク地域をきちんと認識していて、それなら早めに接種しよう、と思える人はいいけど、知らずに訪れた場合は、期せずして日本脳炎のリスクにさらされることになります。だったら、全員生後6か月と決めてしまった方が、漏れがないんじゃないだろうか。

 

3歳から接種となった背景は正確なところはよく知りませんが、ワクチンが導入される以前は幼稚園以上の年齢で発症が多かったこと、乳児期は日本脳炎よりも優先すべきワクチンがたくさんあることなどが考えられます。

 

しかし、3歳未満の症例報告があるのも事実です。
1999年以降の小児例(15歳未満)の発症状況をみてみましょう。

感染症発生動向調査 週報(IDWR)より集計

 

数は少ないですが、乳児~学童まで年齢は様々です。数が少ないだけに現在においては「3歳以上で多い」とまでは言えず、3歳をラインとする根拠も薄れるように感じます。

 

皆さんはどう思いますか?

 

次回は3歳から接種 vs 6か月から接種のリスク・ベネフィットを検討してみたいと思います。

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