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手足口病ってどんな病気? 登園基準は?

[2024.06.28]

2024年は例年よりもちょっと早い時期から手足口病が急増しております。

神奈川県衛生研究所感染情報センターの週報より

 

今回は流行中の手足口病についてのお話です。

 

まず、手足口病って、名前がすごくないですか? 超わかりやすい。英語でも「arm foot and mouth disease」そのまんま!

 

症状はその名の通り手と足と口に発疹が出ます。わかりやすすぎて典型的な症状の子は診察室に入って2秒で診断がつきます。(診断がついても、合併症や重症度の評価とか、やることはありますが)

 

でも、なぜ手足口病は、インフルエンザとかRSウイルスとか溶連菌とかみたいに、病原菌の名前で呼ばないのでしょうか。

 

その理由は、手足口病の原因となるウイルスが複数あるからです。

 

原因ウイルスは?

手足口病は、主に「コクサッキーウイルス」と「エンテロウイルス」の二つが原因となっています。普段この名で呼ばれないのであまりなじみがないかもしれません。どちらも「エンテロウイルス属」のウイルスで、それぞれ型がいくつかあります。型によって症状が少し違いますが、まあでもそこは特に気にする必要はありません。

 

典型的な経過

まず突然熱が出ます。のどが痛いこともあります(よだれがダラダラでます)。で、翌日になると、口の周り、手、足に赤いぽつぽつが出てきます。おしりの周りに出ることもあります。熱は1-2日で下がることが多く、ぽつぽつは7-10日かけて消えていきます。ほとんどは軽症で、勝手に治っていきます。未就学児で多く、大人にもうつるけど稀です。

なので、熱が出てすぐに受診しても診断がつかないことがあります。ぐったりじゃなければ丸一日くらいは様子を見てみるのもありですね。

 

治療法はありません。熱や痛みで辛ければ適宜解熱薬を使うくらいです。発疹はかゆくなければ塗り薬は不要です。

 

水ぼうそうやおたふくと違って、一度かかっても再度感染することがあります。だいたい2回以上かかる割合は6%くらいという報告があります。

 

すごくまれですが、重症化して脳炎などを起こすこともあります。死亡例の報告もあります。これらはエンテロウイルスE71というウイルスが原因の場合に起こりやすいそうです。そのためエンテロウイルスE71に対するワクチンが現在開発中だそうです。ただ重症化はすごくまれなので、そこまで恐れる必要はないでしょう。我々医療者が見逃さないよう気を付けていれば問題なしです。

 

感染対策が非常に難しい

手足口病の厄介なところは、感染対策が非常に困難であることです。手足口病は普通の風邪と同じく飛沫感染しますが、ほかにも発疹からの浸出液や便からもうつります。便には1か月くらいウイルスは排出され続けますので、感染の恐れがなくなるまで保育園をお休みさせるのは無理な相談なわけです。

 

しかも手足口病の原因ウイルスはアルコールが効きません。そこらへんにくっついて数日間生き延びますので、患児が触れた部分は次亜塩素酸ナトリウムを使って丁寧に拭き上げなくてはなりません。ちゃんとやろうと思うと相当大変です。てか無理です。

 

手足口病は流行りだすと一通りみんなに感染するまで拡大し放題な恐ろしい病気なんです。今年もまだまだ増えそうですね。。。

 

国立感染症研究所のHPでも、「急性期のみ登校登園停止を行って、学校・幼稚園・保育園などでの流行阻止をねらっても、効果はあまり期待ができない。(中略)通常の流行状況での登校登園の問題については、流行阻止の目的というよりも患者本人の症状や状態によって判断すればよいと考えられる。」と流行拡大してもしゃーないねというスタンスです。

 

そんなわけで現状、日本では、「解熱して普段通り食事出来て元気なら、発疹があっても登園可」という基準になっています。

 

海外では、たとえばニュージーランドの小児科学会では手足口病にかかったら「すべての発疹が乾燥するまでは登園は控えましょう」と言っていて、日本よりはまだ匙を投げていない感じがします。

 

とはいえ、感染防御が難しい手足口病ですが、3歳くらいの子でも家庭&保育園で手洗いをキッチリやるようにすることで、感染者を減らすことができたという報告も複数あります(家庭と保育園どちらかだけでなく両方で取り組む方が効果的!)。皆様、あきらめずに帰宅時、食事前の石鹸での丁寧な手洗いを頑張りましょう!

 

保育園勤務の方々のおかれましては、手足口病については受診を促して診断をつけて休ませることで感染拡大は(そんなに)防ぐことはできません。また、治癒した後もうつりますので、治癒証明も効果的ではありません。どちらかというと、流行期は園や家庭での手洗い習慣の励行に力を注ぐことが重要です。

 

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