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保管しておいた処方薬を使うリスク

[2023.07.08]

前回、処方薬の保管方法、保管期間についてお話しました。

今回は保管しておいたお薬を使う際の注意点についてお話します。

 

意外に大切なことですが、保管しておいた薬を使うということは、「処方薬を診察・診断なしで使用する」ということです。それには以下のようなリスクを伴います。

 

①実は病態に合わない薬かもしれない

処方されるとき、説明をわかりやすくするために、「かぜ薬」と言われていても、実は抗アレルギー薬だったり、気管支拡張薬だったり、ステロイドだったり、抗菌薬だったりすることがあります。

これらは有効な病態でなければ効かないばかりか、副作用のリスクを負うだけになってしまいます。抗菌薬やステロイドなんて中途半端に効いてしまった日には重病がマスクされ発見が遅れる可能性すらあります。

 

②量が適切ではないかもしれない

前回処方から体重が増えていれば、相対的に薬の量が少なくなってしまいます。多くの薬は体重に比例して量を調整するので、1割程度の体重変化ならそこまで影響はありません。が、中には年齢で使用量が変わる薬もあるので注意が必要です。また、同じ薬でも病態によって量を変えて使う場合もあります。

過剰な/不十分な量の薬を使うことは、やはり得られる効果に比べて副作用のリスクを多く負うことになります。

 

③副作用が起きても自己責任

副作用がない薬は存在しません。頻度は少ないながら、去痰薬でも気管支攣縮が起きたり、腹痛や下痢を起こすことがあります。明らかに不要な気管支拡張薬のテープでかぶれている皮膚などをみるといたたまれない気持ちになります。自己判断で使うならば副作用のこともある程度勉強したうえで使うことが望ましいです。

 

④劣化・痛んでいても自己責任

前回の記事でお話ししたように、許容できる薬剤の保管期間はクリアカットではないため、雑菌等の混入のリスクは多かれ少なかれあります。また、薬剤の性質自体が変化してしまっていたら、思うような効果が得られません。

 

まとめ

前回の記事と合わせて、「処方薬は基本的に診察を受け、必要な分のみをもらって使用し、残さない。が原則。余ってしまったら、適切に保管したうえで、使う際は慎重に、できれば医師にあらかじめ確認をしたうえで使うのが良い」と思います。

 

今の状態にその薬を使うとメリットが勝るか、デメリットが勝るか、それを評価して処方するのが我々医師の技術ですので、ぜひそのあたりを含めて相談していただければと思います。

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