処方薬の保管方法
処方された薬の保管方法について、よく質問されます。
一応、最初に身も蓋もないことを言えば、処方薬は常備薬ではないので、受診時の症状のために必要十分量が処方されるものです。ので、原則残さず使うか使わなかったものは破棄する、が正解です。常備薬はドラッグストアで購入しましょう。これが大原則です。
しかしそうは言っても、使わなかった対症療法薬や頓用薬が余ることはあります。これを全部破棄するのもなんだかエコじゃないですよね。
なので個人的には、余った薬は適切に保管して、有効に活用しましょう、という考えには賛成です。(ただし、最初からそれ目的で「多めに下さい」というのはおすすめしませんが)
薬自体の保存期間は意外と長い。
薬の成分が変化してしまい、効かなくなってしまうと思われるまでの期間は実は結構長いです。
風邪などでよく処方される薬(カルボシステインとかアンブロキソール塩酸塩など)の添付文書をみると、薬剤は一般流通下で3年間安定であることが推測された、とあります。
理論上は3年くらいはもつでしょう、ということです。
シロップ剤の保管方法、期間
シロップは個包装ではなく、ボトルに入ったものを都度取り分けて内服すると思います。
その期限は、薬局でボトルに詰め替える作業、内服の際に別容器に移し替える作業でそれぞれどれだけ雑菌が混入したか、によってきまります。常温保存か冷蔵保存かによっても変わります。そのため具体的にいつまでとはなかなか言いにくいところです。
参考として市販のシロップ薬の使用期限は、だいたい1~2年くらい。「開封後はお早めに使用してください」と書かれているものもあれば、「期限内に使用してください」というものもあります。
処方薬の場合は市販薬よりも保存に有効な添加物が入っていない分、痛むのは早いと予想されますので、結局「お早めに内服してください」ということになります。
粉薬の保管方法、期間
粉は製品として個包装されたものをそのままもらう場合と、薬局で包装されたものをもらう場合があります。
製品として個包装されたものであれば、きちんと密閉されているため、薬そのものの保管期間いっぱい(3年くらい)まで保管可能と思われます。
分包されたものの場合、シロップと同じく分包時の雑菌等の混入はありそうですが、それでも乾燥された状態が維持できればかなり持つと思われます。分包された袋は湿気を通すので、ジップロックに入れて乾燥剤も入れておくとベターです。しかし、やはり具体的な期間は保存状態によりけりなので「お早めに」が望ましいです。
なお、シロップ薬と分包された粉薬のどちらがより長持ちするか、という比較の客観的な根拠は見つけられませんでした。(探せばあるかもしれないけれど)
なんとなく感覚で、粉の方がもつというイメージですが、科学的根拠はありません。
座薬の保管方法、期間
座薬は製品化されたものをそのままもらいますので、薬剤ごとの常温・冷蔵を守れば薬そのものの保管期限まで保管可能と思われます。
こんなところでしょうか。
現時点で言えるのは、添付文書に基づき、「製品として個包装された粉薬、座薬については、適切に保管すれば3年間持つことが推測される。」ということくらいでした。
結果、あまりクリアカットに保管方法・期間についてお話できず申し訳ありません。
次回は後編として保管しておいた処方薬を使う際の注意点についてお話したいと思います。
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