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麻疹(はしか)ワクチンは急いで打った方がいい?

[2023.06.02]

麻疹患者発生のニュースを受けて、にわかに世間がざわついております。

外来でも麻疹のワクチン接種について質問されることが増えました。

 

今回は、麻疹についていろいろ書いてみたいと思います。

 

コロナで地味に減っていた麻疹患者

日本は2015年にWHOから麻疹排除認定を受けましたが、その後も輸入感染例などちょこちょこ発生しておりました。しかし、コロナ禍に入った途端にガクッと減っております。(あまり注目していなかったので、こんなにガッツリ減っているのは知らなかったです、、、)

国立感染症研究所HPの麻疹発生動向報告より作成(2023.5.17時点の情報)

 

この現象はインフルエンザなどと同様、コロナ禍で人の移動が減ったことが要因と考えられています。

 

つまり、再び人の移動が始まれば、またそれなりに流行し始めることが予想されます。2023年は、はたしてこのまま以前のように3桁まで増加していくのでしょうか。

 

麻疹の感染対策

コロナやインフルエンザと麻疹で決定的に違うのは、その感染力です。すなわちコロナ、インフルが飛沫感染なのに対して、麻疹は空気感染なのです。(コロナもエアロゾルが空気感染並みに感染しやすいと騒がれましたが、ふたを開けてみるとそこまでではありませんでしたね。)

 

飛沫感染がくしゃみや咳、喋ったときに飛ぶつば(水滴)を吸い込んで感染するのに対して、空気感染はその水滴が蒸発したあとのより小さく軽い「飛沫核」と呼ばれる粒を吸い込んで感染します。

 

飛沫核は小さいので、マスクをすり抜けます。軽いので、遠くまで飛んでいきます。結果、容易に感染します。

 

その感染力たるや、我々がコロナ禍で培った「マスク」「手指消毒」「2mのソーシャルディスタンス」などの感染対策では太刀打ちできないレベルなのです。

 

大人(1歳以上)はワクチン2回接種しよう

そんなわけで、麻疹予防はワクチンに頼らざるを得ません。

 

「麻疹が流行っているらしいから備えたいけど、どんな対策をして良いか分からない」という方がすべきことは、ワクチン一択です。

 

でも、コロナみたいに5回も6回も接種する必要はなく、生涯(1歳以降)で2回接種すればOKです。

 

まずはご自身の母子手帳を探して記録を確認しましょう。2回接種記録があれば追加で接種しなくてOK。1回記録がある人はもう1回接種しましょう。接種歴0回または接種記録がない人は4週間間隔で2回接種しましょう。シンプル!

なお、接種したかどうか分からない人は、抗体価を測定して打つかどうか決めることも可能ですが、接種後に抗体がついたかどうか確認する必要はありません。

 

赤ちゃん(1歳未満)には打った方がよい?

生後6ヵ月くらいまではお母さんにもらった抗体があるので、接種不要です。

 

もらった抗体がなくなってくる6~11か月は接種可能ですが、残っている抗体が邪魔して免疫が付きにくいと考えられるため、一律に推奨されるというわけではありません。赤ちゃんの場合、海外へ行ったり、公共交通機関に長時間乗るようなことがなければ、ウイルスに遭遇する機会はさほど高くないと考えられるので、優先度は高くないと思います。家族がウイルスを持ち帰って家族内感染するリスクを考えると、まずは周りの大人がきちんと2回接種を済ませることが先決でしょう。

 

なお注意点として、1歳未満の場合は自費になること、1歳未満で接種しても1歳以降の定期接種はきちんと2回接種する必要があることなどがあげられます。

 

 

愛育こどもクリニックでは、①1歳、②年長さんの定期接種はもちろん、1歳未満の任意接種、大人の任意接種(ただしこどもの予防接種と一緒に受ける場合に限る。大人単独はお断りしています)も実施しております。任意接種ご希望の方はお気軽にお電話でお問い合わせくださいね。

※当院で取り扱っているのは麻疹風疹ワクチンのみで、麻疹単独のワクチンはご用意がございませんのでご注意ください。

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