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こどもにコロナワクチンを接種させるべきか(改訂版)

[2022.04.23]

一般的な話については、厚労省小児科学会のHPを参照していただくとして、ここでは当院(脇田)の意見を記載してみたいと思います。(なので、一部偏った意見や間違った情報が含まれる可能性はありますのでご注意ください)令和4年5月31日時点の意見です。

当院では、こども(5-11歳)の新型コロナウイルスワクチン接種を推奨しています。

医療行為は、メリット・デメリットのバランスを取りながら、その子にとっての最善と思われる方法をチョイスしていくのが基本的な考え方です。

こどものコロナワクチンのメリット・デメリットは何でしょうか?

有効性について

新型コロナウイルス感染症を予防する効果については、デルタ以前で約9割、オミクロンでも約7割、と有効性を示すデータが得られています。同居家族内での感染もある程度予防できるようです。予防接種によって、かなり感染しにくくなるのは、間違いなさそうです。また、海外ではコロナウイルス感染後に川崎病のような症状を発症するMIS-Cという病態はワクチンで9割近くが抑えられるとの報告もあり、重症化予防の効果も示唆されています。

感染してもよいのでは?という考えについて

新型コロナウイルス感染症は小児では軽症になることが多いといわれています。診療していても、ちょっとしんどい風邪くらいの子がほとんどです。ただし、少ないながら前述のMIS-Cや、致死的な脳症を発症する可能性があることも事実です。軽症が多いなら別にかかってもいいやと思うか、頻度が少なくとも重症化する可能性があるならと思うかは、それぞれの価値観だと思います。

コロナが普通の風邪と違うのは、家族の誰かが感染すると、本人は10日間、家族は5-7日間は自宅から出られなくなることです。これは小さいこどもを持つ親としてはかなりの負担です。こどもは2-3日で元気になってしまうことが多いので、その後の1週間、家に閉じ込めておくのは大変です。集合住宅だと、走り回ったり大声を出したりされるとご近所迷惑が気がかりでそれもストレスです。こどもにしても、そういった我慢我慢のストレスがあるし、学校や幼稚園、習い事などの大切なイベントの期間にかぶってしまうと自分は元気なのになぜ出られないの、とつらい思いをする可能性があります。最近は減りましたが風評被害や陰口の標的になるリスクもあります。このように病状とは無関係のダメージが多くあるから、感染を防げるものなら防ぎたい、と思うのです。

安全性について

短期的な副反応については、かなり明らかになってきています。成人でみられるような発熱、筋肉痛、心筋炎などは、こどもだからといって重篤なことはなく、むしろ頻度は少ない傾向にありそうです。
長期的な副反応は、当然ながら未知です。10年後20年後に何があるかは誰にもわからないので、これをどれほどのリスクと考えるかは人それぞれだと思います。

痛い、怖い、というデメリットについて

5-11歳、というのは、最も注射を怖がる年齢かもしれません。中学生以上なら大人と同じように我慢できるし、3~4歳の子は「ひとりでできるんだ」という自信がつき始める年齢のためか怖がらずにできる子が多い印象です。いかに本人に前向きに臨んでもらうかが重要です。(先日自分のこども(5歳)に予告なく注射しようとしたら、大暴れでした。反省です。)事前にご家庭で本人に説明し、同意を得ることはとても大切なことです。

ちなみに、コロナワクチンは大して痛くありません。筋肉注射が皮下注射と比べて痛くないことは皆さんご自身のコロナワクチン接種で体験済みと思いますし、注射の時間も、通常の予防接種が1本1秒くらいなのに対して、コロナワクチンは0.5秒かかりません。これには皆さん驚かれますが。

こどもがワクチンを接種することで、高齢者が守られる?について

個人的にはこの考えは好きじゃありません。RSウイルスの流行で赤ちゃんが危険にさらされても、成人や高齢者はなにも自粛しないのに、高齢者を守るためにこどもが何かを我慢したりリスクを負うのは、不公平だと思います。高齢者を守りたければ高齢者がワクチン接種し、外出を控えればいいだけの話です。こどもがワクチンを接種するかどうかは、こどもとその家族にとってのメリット・デメリットで考えればいいと思います。集団免疫という考え方を知らんのかと怒られそうですが。

まとめ

5-11歳のワクチン接種については「努力義務」という文言が外され、各々のご家庭の判断に託されることとなりました。上記のようにワクチンのメリット・デメリットは主観的な部分も多いので、各家庭でよく話し合われることが重要です。そのために必要な情報は惜しみなく提供いたしますので、接種を悩んでいる方はぜひ一度ご相談ください。

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