当院で受けられる百日咳ワクチン
2025年春、コロナ禍で身を潜めていた百日咳が復活してきております。
前回の記事でもご紹介した通り、百日咳は症状がつらく、感染力が強く、治療薬もいまいちなので、感染しないためのワクチン接種がとても重要になります。
当院で行っている百日咳ワクチンは以下の通りです。
①生後2か月からの5種混合ワクチン(無料)
②年長さんの3種混合ワクチン(3,500円)
③11-13歳の2種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンに変更(5,000円)
④妊婦さん(妊娠27-36週)の3種混合ワクチン(5,000円)
これらについて、解説していきたいと思います。
①生後2ヶ月からの赤ちゃんワクチン
5種混合ワクチンとして接種します。こちらは定期接種なので、よほど反ワクチン的なポリシーとかがなければ通常は接種することになると思います。効果がでてくるまで最低2回接種が必要と言われているので、生後3~4カ月くらいまではハイリスクな状態といえます。
②年長さんワクチン
赤ちゃんの頃に獲得した抗体は年長さんになる頃にはほとんどなくなってしまいます。そこで、年長さんの時に3種混合ワクチンを追加で接種します。日本小児科学会からも正式な推奨が出ています。
ところで、赤ちゃんの頃の5種混合ワクチンにはジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、ヒブが含まれていますが、実はこの中のポリオについても、年長さんでの追加接種が推奨されています。
だったらポリオの入っていない3種混合ではなく、4種混合や5種混合を使った方が百日咳とポリオが一度に接種できて効率よさそうなんですが、なぜか4種や5種は「ひとりにつき4回まで」という決まりがあり、年長さんで接種ができません。百日咳とポリオのどちらも追加接種したい場合は、3種混合と不活化ポリオを別々に接種しなければいけません、、、。
さらに余談ですが、忘れがちな4歳の日本脳炎Ⅰ期追加を年長さんに回してしまうと、年長さんでの予防接種が麻疹風疹、おたふく、3種混合、不活化ポリオ、日本脳炎と5本になってしまいます!
どれも大事なので、受けなくていいよーとはいえないので、せめて4歳の日本脳炎Ⅰ期追加は忘れず受けておいていただきたいところです。
③11ー13歳の2種混合ワクチン
11歳になると定期接種で2種混合ワクチンがありますが、この2種というのはジフテリア、破傷風のことで、百日咳は含まれていません。
しかし年長さんの頃のワクチンの効果は5年くらいでほぼなくなってしまうので、2種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンを接種することが推奨されています。
この際、注意点が二つあります。
2種混合は定期接種なので無料ですが、3種混合は任意接種なのでお金がかかります。
2種混合に比べて、3種混合の方が局所反応(打ったところが腫れたり、赤くなったり、痛くなったりする)が強くでます。発熱やそのほか重篤な副反応が増えるということはありません。
2種混合を3種混合に変更して接種する場合は、あらかじめご了承ください。
なお、既に2種混合ワクチンを接種している子が百日咳予防のためさらに3種混合ワクチンを接種することは可能ですが、その場合は局所反応がさらに強く出るおそれがあります。
④妊婦さんの3種混合ワクチン
妊婦さんにワクチン接種して抗体を作ることで、赤ちゃんにも抗体が移行して、生まれた瞬間から赤ちゃんを守ってくれるというコンセプトです。
前述のように、生後3か月過ぎくらいまでは赤ちゃんは抗体で守られていないハイリスクな状態ですので、この期間をカバーできるという利点があります。
妊娠27-36週での接種がすすめらていますが、妊娠30-32週くらいで接種するのが最も効果的なようです。逆に、接種してから2週間以内に生まれてしまうと、抗体の移行が不十分になることがあります。
デメリットとして、やはり副反応として局所反応は出やすいです。
妊娠中のワクチンといえば、RSウイルス対策のアブリスボがありますが、アブリスボと3種混合を同時接種すると百日咳の抗体が付きにくいという報告があるので、両方接種する場合は日を分けた方が良いと思います。どれくらい空ければよいという報告はありませんので、きっちり何週あける、というのは決まっていません。
いかがでしょうか。ご希望の方はweb予約またはお電話でご予約ください。
百日咳のすべてが重症化するわけではないけれど、あの咳のつらさをみてしまうと、事前にやれることはやりたいと思う今日この頃です。