MMRワクチンは自閉症を誘発するのか?
「ワクチンと自閉症(自閉スペクトラム症 )は関係があるの?」
いまさらな内容ではありますが、ネット上ではいまだにこういった疑問を目にすることがあります。
なんとなく知っていても、いまいちこんがらがりがちな内容なので、ブログ記事にしてみようと思います。
MMRワクチンって?
MMRワクチンは、麻しん(はしか)・おたふくかぜ・風しんの3つを同時に予防するワクチンです。 海外では広く使われていますが、日本では使用されていないため、聞きなれないワクチンだと思います。
日本で使われている似たような名前のワクチンはMR(麻しん・風しん) ワクチンですね。
なぜ日本でMMRワクチンが使用されていないかについては、改めて別記事でお話したいと思います。
根拠となった論文
「MMRワクチンと自閉症の関係」をめぐる騒動のきっかけは、1998年に超有名医学雑誌The Lancetに掲載された論文です。
筆頭著者はアンドリュー・ウェイクフィールド医師。彼は「MMRワクチンを打った子どもに自閉症が多く見られる」という研究結果の発表をしました。
この論文は当時大きな注目を集め、世界中の保護者に不安を与えることになりました。
捏造発覚までの経緯
実はこのウェイクフィールド論文 、のちに不正が発覚するわけですが、どういう経緯で発覚したのでしょうか。
この論文は結論が衝撃的だったものの、論文内で扱っている症例がわずか12例であったため、当初からこれだけでは科学的根拠として不十分と考えられていました。
そこで真偽のほどを確かめるために多くの研究者が新たにデータを集めて検証しましたが、同じ結果は再現できませんでした。
やがて、ウェイクフィールド論文ほんとうなのかよ? という疑問が生まれ、矛先が元論文に向き調査が進みました。すると出るわ出るわ、数々の不備や不正が明らかになったのです。
主なものは
・発症時期や検査結果の論文中の記載と実際のカルテが異なっている(改変されている)
・MMRワクチンと競合する「単独麻しんワクチン」に関する特許出願や、MMR訴訟を仕掛ける弁護士との関係(金銭のやりとり)を開示していなかった(つまり、MMRをおとしめたい人たちに忖度している可能性があった)
・研究で行われた腸の生検や腰椎穿刺(通常は不要な侵襲)が非倫理的かつ適正な同意がとられていなかった
などです。
ウェイクフィールド博士は「重大な職業的違反」として医師免許をはく奪されましたが、ある意味で医学史に大きく爪痕を残す大事件として歴史に名を刻みました。
古くから存在する「反ワクチン思想」を加速させる一助になったのは間違いありません。
MMRワクチンは自閉症を誘発しない!
ウェイクフィールド論文が撤回されたと言っても、ワクチンと自閉症の関係自体が否定されたというわけではありません。
本当のところを知るため、その後も世界中で大規模な研究が行われました。
たとえばデンマークでは65万人以上の子どもを追跡した研究があり、「MMRワクチンと自閉症との関連はない」とはっきり結論づけられています。
現在もアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど多くの国でMMRワクチンは使用されており、安全性と有効性は国際的に確認されています。
いまだに主張している人々
それでもSNSを覗いてみると一部の「反ワクチン派」の人々は、いまだに取り下げられたウェイクフィールド論文を根拠に主張を続けているのを目にします。
しかしこれは科学的根拠に乏しく、世界の小児科学会やWHOも明確に否定していますので、明らかなデマと言えるでしょう。
SNSやインターネット上では古い情報が拡散し続けることがあるため、保護者の方は特に注意が必要です。
MMRワクチンだけでなく、現在日本で使用されている他のワクチンでも神経発達に悪影響があるとわかっているワクチンはありませんので、安心して予防接種に臨んでいただければ幸いです。
