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鬼の倒し方概論

[2023.02.03]

2月3日、節分でございます。
皆様のおうちには、鬼はやってきますか?
我が家には毎年、相当気合の入った鬼がやってきていましたが、あまりに怖すぎて子供たちのトラウマになりかかったので、翌年からパタリと姿を消しました。あの鬼はどこへ行ったんだろう。

 

さてあの鬼がもしまた我が家に(もしかしたら皆様のおうちに)現れたら、どうやって倒せばよいでしょうか。

 

まっさきに思いつくのが、豆です。
鬼は外! と元気よく鬼に大豆をぶちまけて追い払うのが定石です。これは効果てきめんなうえ、年の数だけという名目でうまい大豆をたらふく食べられるというごほうび付きです。

 

しかし、小児科医として(急に)、鬼退治に大豆を用いるのはあまりおすすめできません。

特に未就学のお子様がいる場合は。

 

日本小児呼吸器学会が2018年に公表した調査結果によれば、誤嚥による気道異物の9%が「節分の豆」だそうです。気道深くに落ちた大豆を回収するのは、かなり大変です。時に気管切開術を要したり、最悪命を落とすケースもあるそうです。

 

また、こどもというのはなぜか大豆をみると鼻のあなに詰め込みたくなるものです。小児の救急外来では豆、ビーズ、ビー玉など、鼻に詰め込んで取れなくなった子をしばしば見かけます。これも、けっこう取り出すのが大変です。

 

そんなわけで、こども(とくに幼児)に大豆を手渡すのはかなり危険ですので、絶対にやめましょう。

 

でも、、、じゃあどうやって鬼を倒せば、、、?

そもそもなんで大豆を投げるんでしょうか。農林水産省HPの「過去の相談事例」によれば「米と同じエネルギー源で霊力を持つとされる豆をまくことで、病や災いを祓い、更にその豆を食べることで力をいただけると考えられたから」だそうです。ていうか農林水産省にこのことを相談した人がいることに驚きました。笑
余談ですがこの農林水産省の相談シリーズ、他の事例も読むと面白いのでよろしければぜひご覧ください。

大豆以外を投げる

世の中には大豆以外を投げる地域もあるようです。僕の大学は北海道だったのですが、北海道では大豆ではなく落花生を投げていました。

 

毎年節分になると突然後輩たちが家におしかけ大量の落花生を投げて去っていくという学生らしい行事がありました。数年後、引っ越しの際に箪笥の裏から落花生が出てくるというのは北大生あるあるだと思います。しかし、落花生も結局大豆とそんなにサイズが変わらないから幼児に渡せないのは同じ!

 

斬る

飛び道具がだめなら、もういっそ、全集中の呼吸を習得するしかないのかもしれません。数年前、我が家の長男はクリスマスにサンタさんからもらった日輪刀で全力の霹靂一閃を繰り出していました。(けっこう痛いやつ)

 

鬼除け

最も安全かつ平和的なのは、「鰯のお頭」でしょうか。これも、鬼を追い払う効果があるといいます。投げつけるのではなく、玄関に飾っておきます。

 

他には何があるでしょうか。恵方巻き、、、は鬼と関係あるんだっけか。

 

何にせよ、大豆なしに鬼と戦うのは、なかなか骨が折れそうです。皆様工夫を凝らして、悔いのない節分をお過ごしください。

 

 

いったい何がいいたかったかというと、要は節分の豆の事故には気を付けましょうという話です。

誤嚥予防と対応についてもっとまじめに学びたい方はこちらの小児呼吸器学会の資料をご覧ください。

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