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赤ちゃんの聴力検査

[2022.05.23]

生まれつき聴覚に問題のある赤ちゃんは1000人に1~2人いると言われています。

 

耳の聞こえが悪いと、言葉、情緒、心理など様々な発達に影響が出る恐れがあるので、なるべく早期に補聴器や人工内耳手術などの医療的介入を受けることが大切です。

 

とはいえ、赤ちゃんに、「聞こえますか?」ときいても答えてはくれませんので、日常生活のようすから難聴を発見するのは至難の業です。そこで、新生児期の聴覚スクリーニング検査が重要になってきます。まだ義務化されてはいないので、施設によってはやらなかったり、有料だったりしますが、愛育病院では原則お産になる方全員に聴覚検査を行っています。

 

僕の朝はそんな聴覚検査からスタートします。
早朝、授乳後の赤ちゃんたちを、静かな部屋に連れていき、泣かせないように、抱っこしたまま、そーっとそーっと、検査します。

 

 

これがね、かわいいんです。

 

生まれたての赤子を抱っこできる幸せ。

 

朝のエネルギー充電です。

 

検査はどんな感じで行うかというと、
まず、おでこのところに洗顔みたいなやつをぬりぬりして皮脂をおとします。
それからエコーゼリーをぬりぬりしてから、黒電話の受話器みたいな電極を当てます。

で、受話器から音が出て、それを聞いた赤ちゃんの脳波を電極でキャッチして、聞こえているかどうか判定します。

 

いろいろするので、眠っている赤ちゃんも結構な確率で起きて泣いてしまう。なので、泣き始めた赤ちゃんをあやすスキルが問われます。(わが子はもうあやすような年齢じゃないので、必死で思い出しながらやってます)

 

中には、なにをやってもぐっすり寝てる子や、起きてるのにおとなしく検査を受けている子もいて、ほっこりします。
逆になにをやっても泣いている子もいて、こういう子のあやしが成功して検査が合格したときは、もう感動ものです。
人気のない室内で一人でガッツポーズしてます。

 

毎朝早起きするのは大変だけど、ある意味こんな幸せな仕事はないなーとつくづく思います。この子が具合悪くなったりしたら、絶対助けるんだ、と心に誓う瞬間です。(この時点でお父さんはまだそんなに抱っこできてないはずなので、怒られそうですが、、、)

 

ところで、運悪く検査で引っかかってしまった場合も、落ち込み過ぎないでください。生まれてすぐの検査は一次検査といって、あくまで疑わしきは陽性とするスクリーニング検査です。このあと二次検査、精密検査を経て、はじめて聴覚障害の診断になります。(一次検査で陽性になったひとの8割くらいはのちに問題なしと判断されます。)

 

そして聴覚検査はあくまで、「難聴のレッテルを貼るための検査」ではなく、「より早期に介入して発達を促進することで、よりよい人生を送れるようにするための検査」です。

 

赤ちゃんにとっての生まれつきの疾患や障害は、大人が考えるようなハンディキャップではなく、良いも悪いもないスタートラインです。そのスタートラインに一緒に立ち、赤ちゃんの幸せを一緒に考えてあげられるような、そんな素敵な家族をぜひ目指してくださいね。

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