メニュー

赤ちゃんの肌は保湿すべきか?

[2026.05.18]

今や赤ちゃんの保湿はほとんどの親が何の疑いもなく当たり前にやっていると思いますが、果たしてこれって赤ちゃんにとってよいことなのでしょうか?

 

・大人と比べて水分が多くモチモチな赤ちゃんの肌をわざわざ保湿する必要なんてない?
・赤ちゃんの皮膚は薄いから水分の喪失も多い、だから保湿してあげないと乾燥する?
・毎日毎日保湿して皮膚を「甘やかす」ことで自分で水分を維持できない肌になってしまう?

 

様々な説が世の中ではまことしやかにささやかれていますが、本当のところはどうなの? と悩んでしまう方もいるかもしれません。

 

小児科界隈ではいったいどのような議論が行われているのか、論文ベースでその歴史を追いかけてみましょう。

 

はじめての報告

2014年に日本から世界で初めてのRCT(保湿ありとなしをきちんと比較した研究)が報告されました。これによれば家族でアトピー性皮膚炎のある新生児に資生堂のドゥーエという保湿薬を用いて保湿を行うと、アトピー性皮膚炎の発症を3割軽減できたというものです。この報告により、新生児期からの保湿が一気に広まりました。

 

迷走する保湿論争

その後、各国で研究がすすみ、多数の研究をまとめて一つのエビデンスに集約したコクランレビューという報告が2022年に発表されました。これによると、1歳までの積極的な保湿は湿疹リスクを軽減しないばかりか、保湿した群の方が皮膚感染症が増える可能性がある、とのことでした。

 

その一方で保湿がハイリスク児で予防効果がある、としたメタアナリシス、システマティックレビューが立て続けに3本報告されました。

 

さらにそれらに反論するかのように乳児期の保湿は5歳までのアトピー性皮膚炎を予防しないというRCT(BEEP試験)が2023年に発表されました。

 

いったいどっち? と揺れ動きつつ、まあハイリスク児など症例によっては効果があるけど一律でやったらよいというほどでもないのかな? というような考えに落ち着き、2024年のアトピー性皮膚炎ガイドラインでは「現時点でアトピー性皮膚炎の発症予防に新生児期からの保湿剤外用は一概にはすすめられない」というスタンスをとっています。ちなみに、皮膚感染の可能性については、保湿をする人の手が汚れていたりするとリスクになるので、皮膚ケアをする際は必ず手を洗って清潔な状態で行いましょう。

 

最新の見解は?

2025年にアメリカからCASCADE試験というRCTが発表されました。これによれば「ローリスク児も含めて」毎日保湿薬を使った群では乳児期のアトピー性皮膚炎の累積発症率が低かった、というもので、とうとうハイリスク児以外の保湿についても肯定的な報告が出た形とのなります。


この報告により、現在では、赤ちゃんに一律で保湿を行うといいことがあるかもしれないという中立よりは推奨寄りの考えが一般的となってきました。

 

まとめ

保湿が赤ちゃんの皮膚炎発症を予防するかどうかは、一進一退の攻防を繰り返しており、これはつまるところ、良いのせよ悪いにせよ絶大な影響があるわけではない、ということを意味しています。保湿をしていても湿疹ができることはあるし、保湿だけでは湿疹を改善できないことは多いです。保湿を過信しすぎず、症状がある場合はしかるべきお薬を適切に使用することが大切といえます。

 

皮膚治療がうまくいっていない方はコチラもご覧ください→

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME