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百日咳予防のために年長さんの三種混合ワクチンは打つべきか?

[2025.04.28]

年長さんの時に打つべきワクチンは四つあります。

・麻疹風疹ワクチン(定期接種)
・おたふくワクチン(任意接種)
・三種混合ワクチン(任意接種)
・ポリオワクチン(任意接種)

今回は三種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア)の中の百日咳について解説します。

 

はじめに結論

・年長さんになったら任意の三種混合ワクチンはぜひ受けましょう!

 

百日咳流行?

最近、ニュースやSNSなどでやたらと取り上げられている百日咳。百日咳自体は昔からある感染症ですが、コロナ禍でナリをひそめていたものが一気に増えてきたため、注目されているようです。

 

百日咳は、日本では2018年から全数報告が始まり、患者数が把握されています。



JIHS:国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイトのデータ(2025/4/6までのもの)より作成

グラフをみてみると、2025年は始まってまだ3カ月ちょっとなのに、すでに昨年の患者数を大きく上回っているのがわかります。

 

これはコロナ禍直前の2019年に匹敵するペースです。とはいえ今のところコロナ禍以前と比べてすごく多いというわけではないようです。

 

数年前と違ってSNSが全盛の今、(私も含めですが)小児科医や看護師がこぞってブログやインスタやYouTubeで百日咳を取り上げているのも話題性に一役買っているかもしれません。

 

百日咳はつらい

まずはこちらの動画をご覧ください。

百日咳の症状は、はじめはかぜ症状だけどだんだん咳が強くなってきて治るまで100日くらいかかる、とよく説明されます。言葉にすればそれだけですが、じゃあその咳ってどんななの? っていうのがこの動画です。

 

これが百日咳の咳です。

 

もちろん人によって重症度は違いますが、普通のかぜの咳とはレベチなことがわかると思います。

 

治療はあるのか

百日咳は、ウイルスではなく細菌の感染症なので、抗菌薬が効きます。とはいえ、その効果は周りへの感染リスクを減らすことがメインで、症状を劇的に和らげるというわけではありません。

 

なお、気管支拡張薬(メプチンとかプロカテロールとか)、抗ヒスタミン薬(レボセチリジンとかオロパタジンとか)、ロイコトリエン拮抗薬(オノンとかモンテルカストとか)など小児科でよく出るかぜ薬系は効きません。そもそも百日咳は診断をつけるのが難しく、適切な抗菌薬治療にこぎつけるまでも時間がかかりがちです。

 

以上より、百日咳は感染してから治すというよりは、感染しないように予防することに力を注ぐべき疾患といえます。

 

予防法は?

百日咳は飛沫、接触感染するので、マスク、手洗い、アルコール消毒など一般的な感染対策で予防できます。ただし、感染力が強いことや、初期はただのかぜと区別がつかないことから、家庭内感染しやすく、その確率は80%にのぼるという報告もあります。なかなか感染対策だけで防ぎ切るのも難しいところがあります。そこで、予防接種の出番というわけです。

 

予防接種の効果

百日咳ワクチンは3種混合ワクチン、4種混合ワクチン、5種混合ワクチンなどほかのワクチンと混ぜられたものを使用します。

 

効果についての報告は様々ですが、わかりやすいところだとワクチンをしていない人はしている人の6倍百日咳に感染しやすいという報告があります。

 

ただ、百日咳ワクチンは効果の持続期間が短く、年長さんくらいの年齢になると、赤ちゃんの頃に接種したワクチンの効果がかなり減弱してしまいます。そのため、年長さんで再度接種することが推奨されているわけです。

 

予防接種の副反応

〇種混合ワクチンの副反応は局所反応(接種部位周辺の赤みや腫れ)が有名です。発熱など全身症状もありますがこちらはそこまで多くはありません。また重篤な副反応はほとんど報告はありません。比較的安心して接種できるワクチンといえるでしょう。

 

というわけで、年長さんのうちに百日咳予防のための3種混合ワクチン接種がすすめられます。任意接種なので、お金がかかります。当院では3,500円で承っておりますので、ご希望される方はぜひwebからご予約ください。
(※価格は2025年4月時点のものです。物価の変動などで変わる可能性がありますのでご了承ください)

 

次回は、百日咳ワクチンについてもう少し掘り下げて解説してみたいと思います。

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