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施設別・小児科受診の目安

[2024.07.26]

今回の記事は、自分の経験に基づく主観的な意見がメインになります。
この限りではない、ということを念頭に置きつつ、「あー脇田はそんな考えなのね」と思って読んでいただければ幸いです。

 

現在、自分はクリニック、地域医療センター(時間外一次救急)、市立病院当直(時間外二次救急)と三種類の医療施設で働いています。それぞれに役割やできることがあり、どこで働いているかによって対応を変えています。どんな感じかというと、、、

 

クリニック受診の目安

まず、平日のクリニックは、基本的に子供に関することならどんな困りごとでも受診オッケーです。「ゆびにとげが刺さった」「泣き止まない」「離乳食をどうやって進めていいかわからない」「おちんちんの洗い方がわからない」「検査希望」など本当になんでも。

 

こどもとその家族が生活するうえで困っていることはなんでも相談に乗り、可能な限りの対応を全力で行います。(というスタンスで励んでいます)

 

なんでもありであるがゆえに、受診した結果、特に何もせずお話だけしておしまい、ということもしばしばあります。困りごとが解消すれば処方や処置がなくてもそれで良いのです。逆に不安を残したまま帰ることになるようなら、その診療はイケてないということになります。モヤモヤがあれば持ち帰らずぜひ診察の時にお伝えください。

 

時々「こんなことで受診してすみません」と言われますが、まったくそんなことはありません。心配事は十人十色なので、受診してはいけない状況はひとつもありません。

 

というわけで、クリニック受診目安は「心配ならなんでも」です。心配事を何度も相談しているうちに「このくらいなら受診せんでも大丈夫かな」という感覚が育ってきますので、はじめのうちは遠慮なく気軽に受診してください。(発熱や咳など主訴別の具体的な受診の目安もそのうち記事にしたいと思います)

 

時間外一次救急受診の目安

休日夜間診療所などの一次救急のミッションは、

①朝まで待つと危ない疾患をみつける
②朝まで我慢できないつらい症状を何とかする

の二つです。(私見)

 

やばいのか、やばくないのかの判断がメインになるので、必ずしも正確な診断をつける必要はないと考えています。だから、抗原検査など希望されても、それがやばさの判断に必須でなければ、断ります。
クリニック診療と違って、患者さんの悩み事や困りごとをすべてなんとかしようという気はあまりないです。(問題発言)

 

その代わり、「このまま帰宅したらやばい」の判断に全力を注ぎます。「やばい」なら、必要な二次病院への紹介、「やばくない」ならとりあえず夜を乗り越えるための助言や処方を責任もってします。

 

逆に「数日前から咳が続いていて不安になってきた」「昼間は仕事で受診できないので夜来ました」「明日職場に報告しなきゃいけないから検査希望」「手持ちの解熱薬が減ってきたので処方してください」みたいなコンビニ受診の方にはわりと塩対応します。わざわざ塩対応するなんてひどいと思われるかもですが、受診する側の方々にも日中のクリニックと時間外受診とは明確に違うという認識をもっていただきたい(そうしないと本当に「やばい」患者の対応に割けるリソースが減ってしまいます)ので、そうした啓蒙も兼ねています。

 

というわけで、時間外一次救急受診の目安は「今の症状がやばいかどうか判断してほしい時(診断をつけるわけではない)」「今のつらい症状を最低限夜間乗り切るためにどうにかしたい時」です。

 

時間外二次救急受診の目安

大和市立病院などの夜間二次救急のミッションは
・患者さんの状態を取りこぼしなく把握し、今夜すべき必要十分な治療を行う。
です。(これも私見)

 

時間外一次救急と似ていますが、違うのは「やばい」と判断したその先まできちんと行うところです。すなわち、適切な検査をして、診断をつけて、入院すべきか判断し、入院するならその理由と治療方法を、帰宅するならその後のフォロー方法を提案します。

 

こどもにとっては入院(パパママと離れてお泊りする)は一大事です。親御さんからしても、医療機関とはいえ見ず知らずの他人にわが子を預けることになるので、ただでさえ病状が心配なのに、不安が倍増します。可能な限り入院を避けるような方法を考えるし、どうしても入院の方が安全な場合は納得して預けられるよう丁寧に病状説明することをこころがけています。

 

なお、背景にある疾患とか、今後長期的な治療が必要な疾患などの診断はここでは(必ずしも)せず、日中のフォローにつなげます。

 

本来は二次救急は一次救急からの紹介のみとすべきで、一次救急があいている時間帯ならまず一次を受診するのが筋です。ただ実際には深夜帯は一次二次を兼ねている病院が多いと思います。

 

というわけで、時間外二次救急受診の目安は「時間外一次救急受診の目安に該当するが一次があいていないとき」「親の目からみても明らかにやばいとき(けいれん、顔色が真っ青、起こしても起きない、腹痛でのたうち回る、新生児の高熱、など)」です。

 

 

いかがでしょうか。書いていて、自分のポリシー的な部分が多く、誰でもこう考えているわけではないかもなーとも感じています。ぶっちゃけ実際には患者さんが少ないときであればどの施設にどんな主訴で来ていただいても丁寧に対応はできるのですが、コロナ第〇波みたいに外来がひっ迫してきた場合は、上記の目安を思い出していただければ幸いです。

 

小児科医療は全額公費であるがゆえに、限られたリソースをみんなで分け合うものという認識をもち、必要十分な受診をしていただければいいな、と思います。

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