インフルエンザワクチン1回接種のススメ
もうすぐインフルエンザワクチンのシーズンですね!
当院でのインフルエンザワクチンの予約方法などはコチラ
小児科クリニックはこの時期になると在庫の確保やら予約枠の調整でざわざわし始めます。(どうか検定落ちしませんように、、、)
※検定落ち:業者が製造したインフルエンザワクチンの成分が基準を満たさなかったために、使用の許可が下りず、流通ワクチン数が激減すること。クリニックでは予約していただいたのにモノが入荷されず、接種できないという事態になる!
ところで、日本では「13歳未満は2回接種」が当たり前になっていますが、実はこれって世界標準ではないこと、ご存じですか??
今回は小児に対する不活化インフルエンザワクチンの接種回数について、解説いたします。
日本の推奨
日本では1962年に主に学童を中心とした集団予防接種が始まり、そこで2回接種が採用されていました。これは「初めてインフルエンザワクチンを接種する場合は1回接種よりも2回接種の方が効果が期待できる」という報告に基づいていると言われています(この時実際に参照された文献は見つけられませんでした)
この2回接種の効果は、あくまで「初めて」接種する場合の話ですが、この時の日本では、どう解釈したのか過去の接種歴によらず学童全例に対して2回接種としています。
同時期、アメリカなど海外ではすでに「初めて接種の場合は2回、次の年からは1回」という過去の接種歴に基づいた推奨になっているので、60年以上前からすでに日本と世界は推奨が違っていたということになります。
この日本の推奨は1994年に不活化インフルエンザワクチンが任意接種化されてからも踏襲され、現在に至ります。
これは十分な議論の末に毎年2回接種がいいよね! という結論に至った、というよりは、どちらかというとなし崩し的に惰性で続いていると思われます。
海外の推奨
国によって微妙な違いはありますが 、大枠としては「原則は1回接種で十分。ただし初めてワクチン接種をする9歳未満のこどものみ2回接種」という推奨が採用されています。日本のように接種歴に関わらず2回接種を推奨している国は調べた限りは見つけられませんでした。
エビデンスはどうか?
ではエビデンスはどうなっているのでしょうか。まず何度も述べているように、「これまでにワクチンを接種したことがない場合は、1回接種よりも2回接種の方が効果が高い」という論文はたくさんあります。とくにインフルエンザBに対しては差が大きいようです。
一方、「前年度にワクチン接種をしていれば1回接種でも2回接種でも同等の抗体価の上昇が期待でき、予防効果に差はない」という報告があります。
2回接種しちゃダメというほど有害事象が多いわけではないけれど、大して効果の期待できない2回目を頑張って予約し、お金を払って、痛い思いをさせてまで接種する必要があるのか、と考えると、うーん、、、ですよね。
なぜ日本では2回接種のままなのか?
エビデンスがあるのに議論が進まず推奨が変わらないのはなぜか? その本当の理由は偉い人にしかわかりません…。ので、想像ですが
・日本人の気質からして、これまで2回だったものを1回にしても本当に大丈夫なのか不安、少しでも効果が期待できるのなら今まで通り2回接種したい、と思いがち
・単純に厚労省のお役人の他の仕事が忙しくて議論が追い付いてない
などが理由なのでしょうか。あくまで想像ですが。
当院の推奨
以上を踏まえて、当院ではよりエビデンスに忠実な、海外の推奨を支持します。
具体的には
・前年度に予防接種歴のない生後6か月~9歳未満は2回接種
・それ以外は1回接種
をおすすめします!
もちろん日本の推奨通り13歳未満で2回接種希望の方はそのように接種させていただきますので、最終的な判断は各ご家庭で決めていただければと思います。
ご不明な点や、判断するのにもっと情報が欲しいという方は、診察の際に聞いていただくか、インスタグラムでDMしていただければと思います。(※クリニックへのお電話には対応しかねますのでご遠慮ください)
おまけ
2歳以上19歳未満ではフルミストという点鼻生ワクチンもございます。こちらは全年齢1回接種ですし、痛みもないので、おすすめです。選択肢としてご検討いただけるかなと思います。
